看護師が有給休暇を取得しやすい看護方式

正社員の有給休暇は年間20日程度付与され、1年間は繰り越しできますが、消化しないとその後は失効してしまいます。慢性的人手不足のうえ、激務が続く医療現場で、看護師が有給休暇を取得するのは容易ではありません。特に、夜勤など不規則勤務がある病棟や救急外来で働く看護師は、有給休暇の取得は難しいでしょう。

有給休暇の取りやすさは、看護方式も大きく影響します。看護方式とは、1人の患者を何人の看護師がケアするかというシステムです。従来は、患者1人を看護師1人が担当する、プライマリーナーシングが主流でした。

この方式は、患者の容態を正確に把握した1人の看護師が、患者の入院から退院まで責任を持ってケアすることになります。患者との関係がよければ、患者は安心してケアを受けられますが、看護師は患者が退院するまで休暇を取りにくく、有給休暇の取得も困難です。

これに対して、患者1人を複数の看護師が交代制でケアするチームナーシングの場合は、有給休暇の取得はさほど難しくありません。チームリーダーの看護主任などの地位にある看護師が、部下の看護師に有給休暇を取得できるように配慮しているのです。チームナーシングを採用する医療機関は増えており、有給休暇を取得したい看護師は、チームナーシングの職場を選ぶことが多いです。

また、夜勤のある病棟のうち、夜勤専門の看護師を雇用している医療現場もあります。日勤だけの勤務形態で働ける体制を整えている職場は、人員分配のバランスが取れていて、有給休暇を取得しやすいでしょう。